ZANKYŌ
Every sound leaves a trace.
東京——二千万の呼吸が重なる街。
サウンドエンジニアの深澤蓮は、都市の環境音を収集する日々を送っていた。地下鉄の轟音、渋谷の雑踏、首都高の風切り音。彼にとって東京は、世界最大の楽器だった。
ある夜、新宿のレコーディングスタジオで異常な周波数を検出する。人間の耳には聞こえない超低周波の中に、規則的なパターンが埋め込まれていた。それは偶然のノイズではなかった。誰かが、東京の騒音の中にメッセージを隠していた。
パターンを解読するうちに、蓮は連続する不審な失踪事件との関連に気づく。音は消えても、その振動は残り続ける。壁に、空気に、記憶に。消された人々の痕跡が、東京のノイズフロアに刻まれていた。
真実に近づくほど、蓮自身が「消される側」へと追い込まれていく。信じられるのは、自分の耳だけ。
残響は嘘をつかない——
2026.08.07 FRI — NATIONWIDE